Caries むし歯は早期発見・早期治療を
むし歯は、歯周病についで日本の成人が歯を失う原因の第2位です。ごく初期段階を除き、むし歯は治療しなければ進行を止められません。さらに、治療で削った部分も、むし歯により溶けた部分も二度と健康な天然歯(ご自身の歯)には戻りませんので、「歯が痛い」「冷たい物を口にするとしみる」などの症状に気づいたら、できるだけ早く治療を受けてください。長崎市古川町の浜町アーケード近くの歯医者「医療法人 光洋会 野島歯科医院」が、むし歯についてより詳しくご説明します。
むし歯について
身近なお口のトラブルのむし歯は発症と進行のメカニズムが解明されているので、予防することが可能です。いったん発症すると治療をしても再発しやすいので、むし歯を理解して予防することが口腔内の健康維持につながります。
むし歯の原因
むし歯の発症・進行には、4つの要素が関係します。それは口腔内のプラーク(歯垢)に潜むむし歯の原因菌、そしてむし歯の原因菌のエサとなる糖分、さらに抵抗力が弱い歯です。この3つの条件が重なり、さらにその時間が長ければ長いほどむし歯は発症しやすくなります。
口腔内は飲食のたびに歯のエナメル質の成分が溶け出す「脱灰(だっかい)」と、成分が歯に戻る「再石灰化」をくり返します。むし歯への抵抗力が低いと「脱灰」と「再石灰化」のバランスがくずれ、むし歯が進行しやすくなるのです。
そのため、むし歯になりにくい習慣としては、「間食を控える」「ダラダラと時間をかけて食べない」、そして「お口の中に汚れを残さない」「プラークをためない」などが挙げられます。食べたら早めに口をゆすいだり、ブラッシングをしたりしましょう。
むし歯のメカニズム
- 口腔内のむし歯の原因菌(ミュータンス菌)が食べカスに含まれる糖分をエサにして、ネバネバ成分を産出し歯に付着します。
- バイオフィルムに守られたプラークの中でもさまざまな菌が増殖します。そこでも糖分を分解して発酵させて「乳酸」をつくります。
- プラークの中で「乳酸」がたくさんつくられると歯のエナメル質が溶けて穴があきます。これがむし歯です。
進行段階とおもな治療法
むし歯はその進行度合いに応じて5段階に分けられます。
CO~初期のむし歯~
【症状】
エナメル質が白く濁って見える「脱灰」の状態です。痛みなどの自覚症状はまだありません。
【おもな治療法】
歯に付着する汚れを落とします。そのためのブラッシング指導を行います。また歯のクリーニングのあと、フッ素塗布を行い、歯の再石灰化を促します。
C1~エナメル質のむし歯~
【症状】
エナメル質がさらに溶かされ黒ずみ穴があきます。冷たい物がしみることもあります。
【おもな治療法】
むし歯部分を除去してから、レジン(歯科用プラスチック)を詰めて補います。
C2~象牙質のむし歯~
【症状】
エナメル質の内側の象牙質にまで汚染が進んだ状態です。「冷たい物がしみる」「痛みを感じる」などの症状があらわれます。
【おもな治療法】
むし歯に汚染された部分を除去してから、詰め物を装着して失った歯質を補います。
C3~神経に達したむし歯~
【症状】
歯の中の神経にまで汚染が進んだ状態です。何もしなくてもズキズキ激しく痛みます。
【おもな治療法】
歯の神経を除去して歯の根の部分を残すための「根管(こんかん)治療」を行います。そのあとで、土台を形成し被せ物を装着して歯の機能回復をはかります。
C4~歯の上の部分(歯冠)がほとんど溶けてしまったむし歯~
【症状】
歯冠がほとんど溶けてなくなり、歯の根が残った状態です。歯の神経が死んでしまうといったん痛みはなくなりますが、歯根の先に膿がたまるとふたたび激しく痛みます。
【おもな治療法】
ここまで悪化するとほとんどの場合、抜歯が選択されます。抜歯後、ブリッジ治療・入れ歯治療またはインプラント治療から選択して歯の機能回復をはかります。
予防メニュー
ブラッシング指導
一人ひとり異なる歯の生え方や口腔内の状況に合わせてブラッシングの仕方をアドバイスします。
フッ素塗布
歯質の強化が期待できるフッ素を歯面に塗布します。とくに生えたての乳歯や永久歯のむし歯予防に有効で、さらに定期的なフッ素塗布がおすすめです。
治療後はメンテナンスが大切です
むし歯は再発しやすいので、治療後はその状態を保つための予防に力を入れましょう。また、口腔内の健康は、全身の健康やQOL(生活の質)の向上にもつながります。歯や歯ぐきが健康なときには気づきにくいのですが、好きな物を食べたり、はっきりとした発音で話したり、口元を気にせずに笑ったりできるのは、お口が健康だからです。また噛み合わせのバランスが整っていると全身のバランスも整いやすいのでそれが健康にもつながります。
「健康寿命」を延ばすためにもお口の健康を守りましょう
「健康寿命」とは、健康で自立した生活ができる期間のことです。とくに制限されずに日常生活を営むことができる期間ですので「平均寿命」とは異なります。そして歯の健康が全身の健康にもつながるという研究データも発表されています。それによりますと、歯が多く残っている人より歯がほとんど残っておらず義歯も使用していない方のほうが、認知症発症リスクや転倒のリスクが高い傾向があるというのです。お口の健康はさまざまな理由で全身の健康につながると考えられます。
[出典]
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会・次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会
「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」p25